有機栽培の自然循環型農業
 日本海に面する新潟県の南に位置し、人口約38,000人の小さくて静かな町、新潟県妙高市(旧新井市)。 この地方は「久比岐野(くびきの)」と呼ばれ、美味しいお米の産地として名を馳せており、財団法人日本穀物検定協会が発表した、『平成13年度お米の食味ランキング』でも、最上級の評価である「特A」指定地域として評価されています。 その中でも最高の環境にあるのが、妙高山系の麓にある「斐太の里」。ここに私たちの田んぼがあります。


妙高山
妙 高 山
 標高2456mの新潟県と長野県の県境にそびえる、妙高連峰の主峰です。冬の間に降り積もった雪が春になると溶けはじめ、山の中腹あたりに馬が飛び跳ねているような形が見えてきます。地元では、これを「はね馬」と呼んでいます。斐太の里では昔から、この「はね馬」が見えてくると、田植えを始めます。

この土地は、妙高山系の2000メートル級からなる山々に囲まれ、山間部では冬の間に5m〜10mもの雪が降り積もります。

春になるにつれて徐々に溶け出した雪が、ゆっくりと時間をかけて地面に浸透していきます。

川辺に生えるフキノトウ

耕耘後の田んぼ

やがて、ミネラルをたっぷり含んだ水が地下から湧き出し、私たちの田んぼを潤します。

秋の刈入れ後に有機肥料を混ぜて耕しておいた私たちの田んぼも、肥沃な土となって顔を出します。 さぁ、野良仕事
が始ります。


代掻き

米作りの初期工程は、苗作りに始まり、田おこし、代掻き、そして田植えです。

このあたりの土壌は粘土質で、水田の水もちがよく、稲の根が丈夫に育ち、高温や風に強くなるといった特徴があります。土や水の栄養分を吸収して、これから苗はどんどん大きくなっていきます。


矢代川の清流斐太の里の近くにある矢代川の清流


私たち田んぼはこの地方の平野部よりも、小高い場所に位置し朝晩の寒暖の差が大きく現れます。
成長期のこの時期、この寒暖の差がお米の糖質を高め、炊き上がってからの深い香りと、きれいな粘りを生み出します。
朝には霧が立ち込めます

山の様子 私たちの田んぼは、もっとも環境に敏感だといわれているニジマスの養殖所のそばにあり、民家や工場も無いところにあります。夜にはたくさんのホタルを見ることもできます。
大気汚染や廃水による汚染とは無縁のこの地で、燦々と降り注ぐ太陽光を浴びながら、稲はぐんぐん育ちます。

田植えから稲刈りが終わるまで、毎日田んぼに足を運びます。稲が順調に育っているかどうかをチェックするのです。
特に夏の間は、病気や害虫の被害に合いやすい時。ちょっとした変化も見逃さぬよう、気を配ります。



稲刈りの様子

収穫のこの時期、年間を通して最も忙しく、 喜びの季節です。
田んぼ一面がきれいな黄金色で覆われ、稲のいい香りが、斐太の里に
漂います。

実の重さで頭が垂れる稲穂

アキアカネが空を舞います
アキアカネ

田んぼの周りには、ミヤマアカネやアキアカネなどのたくさんのトンボたちが飛びかい、私たちが黙々と稲刈りをしているのを、上から応援してくれているようです。

山にはアケビも・・・

大毛無山の紅葉
山の木々が赤く色づき始める頃が収穫の最盛期。刈り取りの頃合を逃さないために、大きなコンバインで一気に刈り取っていきます。
収穫後の籾の乾燥は、時間をかけて丹念に仕上げます。その後、一定の室温・湿度に保たれた倉庫で保管します。収穫時の風味を損なわないよう、体制は万全です。
コンバインでの収穫



田んぼの上をたくさんの雪が覆います

妙高市は言わずと知れた豪雪地帯。1〜2メートルもの雪が、私たちの田んぼを覆い隠します。

冬になると食料を求め、たくさんの動物たちが姿を現します。彼らのほとんどが夜行性で、昼間はあまり見かけることができませんが、朝になると私たちの田んぼに無数の足跡が残っています
きつねの足跡
きつねの足跡

2月は降雪のピーク この時期に降り積もった雪は、来期の稲作にはとても重要な水源です。 春になって溶け出した雪を山々が地下水として蓄えます。
豪雪地帯のこの斐太の里では、夏の日照りで水が枯れることはなく、いつでも豊富な量の冷たい水を田んぼに供給することができるのです。

除雪風景
稲作をするには最適な環境ですが、やはり人間が住むには結構過酷な場所だったりもします。
雪が多く降る年には、家の玄関が雪で塞がれ、2階から出入りするときもあります。
雪国での生活は、やはり・・・忍耐が必要です。

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